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「結局のところブランディングって何をするんですか?」「ブランディングをひと言で言うと?」時々、そんな風に聞かれることがある。ついこの前も何人かに質問されたので、ここに少し書いてみることにした。
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最初に一般論を言ってしまうと、ブランディングとは商品やサービスの本当の価値を伝え、知ってもらうこと。「ファンになってもらう」に近いかもしれない。これは言い換えると新しい価値を作り出すこととも言える。ただ、それだけだと抽象的で大雑把すぎるので、もう少しわかりやすく掘り下げてみたい。
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ひと言でブランディングと言っても、企業や商品のブランディングだけでなく、近年あちこちで謳われている地域ブランディング、更にはインナーブランディングやアウターブランディングなど種類も沢山あって、なんとも難しそうな雰囲気だ。とは言え、全ての「ブランディング」に共通するのは「ブランドを作る」ということに変わりはない。
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そうなるとブランドとは何かという話になる。
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「ブランド(Brand)」という言葉の語源は、自分と他人の家畜を見分けるための目印となる「焼き印=Burned」 だと言われている。焼き印の役目は農場や飼い主の明示=シンボル=差別化であり、品質への責任=信頼であり・・・これは正にロゴマークの役割と同じだ。ロゴマークがブランドの象徴だとすると、ブランドとは現代の焼き印だとも言える。
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また、ブランディングはしばしばマーケティングと混同されがちだが、これらは全くの別物だ。マーケティングの目的は「より多く売ること」であり、売るための方法論こそがマーケティング。経営の大きなゴールの一つが利益を上げることなので当然マーケティングの視点はとても大切だ。しかし、である。実はブランディングそのものの目的は「売ること」ではない。冒頭にも書いたとおり、ブランディングの目的はあくまで「知ってもらうこと」「伝えること」にある。
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例えば価格競争。他社の価格(マーケット)に対して自社の価格を設定する、マーケティングの一つの例だ。商品やサービスの品質と価格がこんなにも釣り合っていない国は、世界を見渡しても存在しない。これこそが献身的な日本人による価格競争が産んだひとつの結果だろう。マーケティングの視点では、物事の判断基準はマーケット、要するに他人の中にある。極端な話「みんながそう言ってるから」という理由で発言や行動を決めるようなものだ。これならたしかに波風も立たなくて一見平和かもしれない。そのかわり周囲の意見の変化に自分を合わせなくてはいけないし、下手をすると全員共倒れの可能性だってある。
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ではこの価格競争をブランディングの視点から考えるとどうなるだろうか。前述の通りブランドとは差別化と信頼のシンボルなので、ブランディングが成功していれば「うちの商品やサービスはこんなに高品質なのでこれくらいの値段ですよ。他の会社は知らないけどね」と言い切ってしまうことができる。要するに人は人、自分は自分。その上で「あなたの商品やサービスが欲しい」と言わせることが「ブランド力」であり、本来の価値をしっかりと伝えることでファンを増やし「結果的にたくさん売れるようにする」というのがブランディングの成功シナリオである。「売る」ではなく、結果的に「売れる」ことを目指す、それがブランディングなのだ。
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勘違いしてはいけないのは、ブランディング思考が正解でマーケティング思考が悪いという話ではない。ポイントはブランディングを徹底しつつマーケティングを行った方がより効果的だということである。
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そしてブランディングとデザインはとても相性がいい。ブランドをつくる時にはデザインの力がとても重要になってくる。企業や商品、サービスの魅力や価値を引き出して(←ここがとても重要)「見せ方」だけでなく「在り方」や「ストーリー」を考える。ここがデザイナーやコピーライター、カメラマンといった所謂クリエイターの腕の見せどころなのである。
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じゃあ具体的には何をどうすればいいのか。それはまた次の機会に。
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写真の「地ブランド」という本は、10年以上前に地域ブランディングについて分かりやすく書かれた良書。店頭でもAmazonでも買えます。Mooi Library(本棚)にもあるので読みたい人は声をかけてください。いつでもお貸ししますよ。

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Daisuke Takada